005 「文末焦点」って何?


突然ですが、皆さんは英語の授業で「文末焦点」ということばを聞いたことがありますか?私は中学・高校と英語を習ってきて、授業中にそんなことばは一度も聞いたことがありませんでした。しかし、私の場合は偶然にも高校1年生のときに手に取った英語の「参考書」にそのことばが載っていたため、のちの英語学習において他の高校生よりも優位な立場で学習を進めることができたような気がします。「高校生向け学習参考書」だと思って購入してしまった英文法の学術書(大学生・社会人向け書籍)のおかげで。

日本の英語教育現場では文末焦点を指導することがほとんどないために、多くの人がネイティブに首をかしげられる変な英語を話したり書いたりしてしまっています。これから文末焦点についてお話しますが、いきなり英語で説明されるより、先に日本語で感覚を実感してもらった方が分かりやすいと思いますので、まずは下の①②の文章を読んでみてください。

① 私はネコを飼っています。
そのネコは白いです。
② 私はネコを飼っています。
  白いのはそのネコです。

上の①には違和感を感じませんが、②には違和感を感じるはずです。なぜか。それは②の「白いのはそのネコです」が、新情報→旧情報の順番になっているからです。「私はネコを飼っています」と言われることで、聞き手は私がネコを飼っていることを知り、そのネコに関してはすでに知っている情報(旧情報)となりました。①では旧情報(そのネコ)→新情報(白い)の順番になっているため、聞き手は違和感をいだきません。一方、②では突然「白い」という新たな情報が先行したため、聞き手の頭の中は「???」となってしまいます。あえて英語にはしませんが、このことは英語でも全く同じことです。つまり、日本語であれ英語であれ、円滑なコミュニケーションを図るには旧情報→新情報の順番で話を進めていくのが原則なのです。(もちろんこれは原則ですので、強調などの意図をもってあえて新情報→旧情報の順番にすることもあります。)

それでは、次の英文を見てください。

(a) He gave his daughter a diamond ring.
(b) He gave a diamond ring to his daughter.

中学2年生で習う「give+人+物」(第4文型)と「give+物+to+人」(第3文型)の書き換え文ですね。もちろん、「彼が娘にダイヤモンドの指輪をあげた」という事実においては、(a)と(b)はイコールだと言えます。しかし、文末焦点の考え方にてらすと、(a)の新情報はa diamond ringで、一方(b)ではto his daughterとなります。新情報とは相手が新たに知ることになる価値ある情報ですから、(a)と(b)では発言者の伝えたい内容が異なることになるのです。それぞれを文末焦点の考え方に従ってあえて訳してみると、

(a) 彼が娘にあげたのは「ダイヤモンドの指輪」でした。
(b) 彼がダイヤモンドの指輪をあげたのは「娘」でした。

となり、2つの印象はずいぶん違うことに気づきます。これを単なるイコールとして指導するのはどうかと思いませんか?私はツッコミを入れたくなります。

では、今度は新情報ではなく、旧情報にスポットを当ててみます。(a)(b)双方に共通する旧情報はHeです。文の初めにくる情報は、旧情報であることが多いのと同時に、その文の主題(テーマ)であるのが普通です。まず初めに文の主題を述べ、それに新情報を加えていくという手順ですね。このような考え方が理解できると、次の2文の違いも見えてくるはずです。

(c) Bob visited Kyoto two years ago.
(d) Two years ago, Bob visited Kyoto.

(a)(b)(c)の文では、主題(テーマ)として文の先頭に主語が来ています。しかし、(d)のように、Two years agoという副詞句やその他の語句を主題にすえて文を始めることも可能です。「2年前はね…」と言って文を始めることで、聞き手の興味を引きつけていると考えられます。また、Bob used to visit Nara when young, but two years ago he visited Kyoto.「ボブは若いときによく奈良に行ったが、2年前は京都に行った。」のように、若いときと対比して2年前を強調したい場合にtwo years agoを文頭に出すことがよくあります。

以上のように、どんな言語であっても、語順は「何を伝えたいか」「何を強調したいか」とかかわっているのが一般的です。日本の語学教育はそのあたりを無視して指導しているケースがあまりにも多く、教わる側は文法的には正しいが違和感のある文(文章)を平気で発信してしまいます。今回のテーマである文末焦点を知ることで、「日本人が陥る変な受動態」や「『~がある』なのに、なぜThere is~.の形で表せない文があるのか」など、解決できる問題が実にたくさんあります。それどころか、長文読解において筆者のイイタイコトをとらえる際にも役立ちます。文末焦点の考え方は、単なる文法知識のひとつではなく、聞く・話す・読む・書くという英語の4技能のすべてにかかわることだと、私は確信しています。入試の英語がますます長文化しコミュニケーション能力重視となる昨今、語学学習において語順を意識することは大きなメリットとなるのではないでしょうか。

004 becauseをちゃんと使えますか?

今回のネタはbecauseです。becauseの使い方については、間違った使い方を教えられたという人はほとんどいないかもしれませんが、中途半端に教えられたり、正しい使い方を教えられなかったりするために、結果的に多くの人が間違った使い方をしています。まずはよくある例文を見るところからスタートしましょう。

(a) You can’t go out because it’s raining. 「雨が降っているので外出はダメよ。」

中学校で習う典型的な文ですね。「because + 理由」の形で使い、「~だから・~ので」と訳します。becauseは接続詞として2つの文をつなぎます。2つの文の順序を入れ替えて、Because it’s raining, you can’t go out.と言うこともできましたね。このあたりのことはどの中学校でも、どんな先生でもしっかりと教えてくれます。(ただし、becauseを使って理由を表す場合は、「結果 + because + 理由」の順になることが圧倒的に多いことも付け加えておきます。)

では、次は2人の会話を見てみましょう。

(b) N.T : Why did you want to climb Mt. Everest? 「なんでエベレストに登りたいと思ったのですか?」
J.M : Because it’s there. 「そこにエベレストがあるからだよ。」

「そこに山があるから」というのはよく聞くセリフですが、実は「そこにエベレストがあるから」の誤訳または拡大解釈です。1923年3月28日付のニューヨーク・タイムズ紙に、登山家ジョージ・マロニーのことばとして掲載されています(マロニーが直接発言したのではないという説もあります)。それはさておき、このようにWhy~?という疑問文に対してBecause~.と答える会話文を何度も見たり聞いたりしたはずです。もちろん、上の会話に誤りはありません。

ところが、会話におけるこのようなbecauseの使用を指導する際に、この用法がbecauseの本来の使い方から外れているということを捕捉しない教師があまりにも多いために、多くの人に誤解を起こさせるのです。ここが今回のツッコミ・ポイントです。

becauseは(a)の例文のように接続詞として2つの文をつなぐものです。原因・理由を表す文と結果を表す文をつなぎ合わせ、1つの文にまとめるのがその本来のはたらきです。つまり、becauseを使った文中には原因・理由と結果の両方が含まれていなければならないのです。(a)では「雨が降っている」という理由と「外出してはいけない」という結果の両方が1つの文中に存在します。一方、(b)では「そこにエベレストがあるから」という理由が述べられているだけです。もちろん、これは本来の文法の考え方からすると間違いということになります。しかし、「会話文に限っては」結果の内容は質問文に含まれており明白なため、結果部分を省略してもいいのです。くどいようですが、「Because + 理由」だけで文をしめくくっていいのは「会話文のWhy~?に対する返答のときだけ」です。お忘れなく!

とはいえ、書き言葉において、どうしても理由だけを述べる文を作りたいなら、方法がないわけではありません。大学入試でよく出題されるThat is because~.という構文を使う方法です。主語であるThatは直前で述べた内容を指していて、「それは~だからだ」という理由を表します。(実際はThatの内容が結果を表すので、1文中に理由と結果の両方があることになるのですが…)

(c) He made a lot of mistakes. That’s because he didn’t listen carefully to what his teacher said. 「彼はたくさん間違えた。先生の言ったことをしっかりきかなかったからだ。」

では、最後に私の生徒が実際に書いた英文を紹介します。

The woman was so frustrated. Because the boys were making noise in the train. But she couldn’t stop them from doing it.
「女性はいらいらしていた。なぜなら、男の子たちが電車の中でさわいでいたからだ。しかし、彼女は彼らにそれをやめさせることはできなかった。」

もう間違いに気づきましたね。becauseの文を前の文とくっつけて、The woman was so frustrated because the boys were making noise in the train.としなければなりません。

このように、書き言葉としてのbecauseは、気づかないところで間違って使っていることも多いので注意が必要です。特に指導者の方には、説明不足が必ず間違いにつながる語の一つであることを肝に銘じて指導に当たっていただきたいと思います。

003 イコールの魔物② willとbe going to

前回の当コーナーでは「mustとhave toの違い」について扱いました。私が指導している生徒からも、「へぇ~、知らんかった」「そんなん初めて聞いた」と多くの反響がありました。一方で、「そんな違い、どうでもいいやん」という正直なコメントを寄せてくれた人もいました。確かに、学校のテストで点数さえ取れればそれでいいというのであれば、その通りだと思います。知ったところで学校のテストの点数は1点たりとも変わりませんので。

そこで今回は、知らないと学校のテストでも点数に響く内容を扱おうと思います。タイトルにもあるとおり、「willとbe going to」についてツッコミます。ただし、本題に入る前にことわっておかなければならないことがあります。このwillとbe going toは、ほとんどの中学校ではイコールだと教えられているのに、高校では別物として教えられているのが現状だということです。中には、高校1年生の段階ではイコールと教えておきながら、高校3年生になって入試問題を扱うようになると、手のひらを返したように別物扱いしだす高校もあります。こんなことをしていては、まじめに勉強している人ほど頭が混乱するはめになってしまいます。ですから、ここでは初めから立場をはっきりさせておきますね。willとbe going toはイコールではありません。では、スタートです。

(a) When will you leave Australia?

皆さんは(a)の英文を見て何か感じることはありますか?一見しておかしなところは見当たりません。単語のつづりも語順も正しいです。しかし、この英文は明らかに誤りです。英文が言わんとしていることが、「いつオーストラリアを出発するつもり(予定)ですか?」だということはわかりますね。中学校で、willは「~するつもり(予定)だ」と習ったと思います。この「will = つもり・予定」という考え方は百害あって一利なしだと、私は考えています。その理由は、「つもり・予定」と言うと「前から決めていた」感じがするからです。しかし、willが実際に表すのはそれとは全く逆で「その場の思い付き」なのです。そして、勘のいい人はもうお解りだと思いますが、「前から決まっていた」ことについて話すときに使うのがbe going toです。よって、明らかに予定を尋ねようとしている(a)の文は、When are you going to leave Australia?と言うべきで、どちらでもよいなどということはないのです。
※文法的には正しい文です。また、特定の状況では実際に使われることもあります。

では、ここでwillを用いた文をいくつか紹介します。

(b) I’ll answer the phone. 「ボクが電話に出るよ。」
(c) I’ll return it by next Sunday. 「次の日曜日までに返します。」
(d) I’ll treat you. 「オレがおごるよ。」
(e) She’s so cute. You’ll like her. 「彼女はすごくかわいいから、気に入ると思うよ。」

どうですか?「その場の思い付き」のニュアンスを感じることができましたか?(b)は電話が鳴って、その場で自分が電話に出ることを決めたのがわかりますね。(その場で決めた意志)(c)は約束をその場で宣言しています。(d)は申し出ですね。(e)はその場で思ったことを予測として述べています。これらの4つはwillが表す基本であることを覚えておいてください。では、次はbe going toです。

(f) I’m going to go fishing tomorrow. 「明日は釣りに行くつもりだ。」

もちろん、釣りに行くのはその場で決めたことではありません。前からそう決めていたことです。だから、間違っても「willに書きかえられる」などと考えてはいけないのです。もちろん、「明日は釣りに行こうっと!」のように、その場で決めたのであればwillを使うべきで、逆にbe going toを使ってはいけません。

(g) Look at all the clouds. It’s going to rain. 「あの雲を見てよ。雨になるよ。」

例文(g)は、空をおおう雲から判断して、雨が降るのはほぼ確実な状況です。このように、現在の状況から未来に起きることがほぼ確実であることを表すのもbe going toの役割です。これは特に大学入試で問われることがあります。もちろん選択問題で、選択肢の中にはwillとbe going toの両方が存在しますので、しっかりbe going toを選べるようにしておきましょう。

以上のことからわかるように、「will=be going to」と考えるのは非常に危険です。皆さんはイコールの魔物のわなに引っかからないよう気を付けてください。たとえ中学校でイコールだと習ったとしても、「本当は違うんだ」と自分に言い聞かせるようにしましょう。もちろん、中学生用の問題集にはwillをbe going toに書きかえさせる問題が出ていると思います。そういう「愚問(悪問)」には、仕方なく「will=be going to」とするにせよ、頭の中では「オレは(私は)だまされないぞ」と思いながら解答を書いてください。そうすれば、高校の勉強あるいは大学入試で困ることはないでしょう。

では、今回はこのへんで…次回のツッコミをお楽しみに!

002 イコールの魔物① mustとhave to

突然ですが問題です。

次の(a)(b)の英文が同じ意味になるように(  )に適語を入れてください。
(a) I must study.
(b) I ( )( ) study.

みなさんはわかりますよね。答えは“have to”です。誰もが見たことのある超定番問題ですからね。ところが、第2回の「英誤」は、まさにこの問題なんです。「must = have to」 日本の中学校では、このとんでもない公式が必ず教えられますよね。確かに、「~しなければならない」「~する必要がある」と訳せる点では同じだと言えるかもしれません。でもね、違いだってあるんです。そんなわけで、今回は「must = have to」 にツッコミます。

さて、上の2つの英文(a)(b)はどちらも正しい文です。問題は2文が同じ意味だと捉えられている点です。どちらの訳も「私は勉強しなければならない」となるのだから、同じ意味だろう…と言いたくなる気持ちはよくわかりますが、mustとhave toは言外の意味が違う、というか、使うシチュエーションが違うんです。次の(c)(d)を見てください。

(c) We must take a ship to get to the island.
(d) We have to take a ship to get to the island.
 「その島に行くには船に乗らなければならない。」

ネイティブがこれらの英語を聞けば、おそらく(d)にはまったく何の問題も感じないでしょうが、(c)には違和感を感じると思います。その理由は品詞の違いにあります。mustは助動詞ですよね。他方、have toは動詞(+不定詞のto)です。ところで、みなさん、助動詞ってそもそもどんな役割をするか知ってますか?実は中学校では、そこんとこが教えられることなく、いきなりcanは助動詞だとかmustは助動詞だと教えられます。まずはここにツッコミを入れないと…

助動詞は話し手の主観を表す!

たったこれだけのことなんだぞ!ちゃんと教えろ!!と。「助動詞は動詞に意味を付け加える」なんて、表面的なことだけじゃダメです。「助動詞は話し手の主観(気持ち)を表す。」つまり、mustなら話し手が「個人的に」必要だと感じていることを表します。だから、ネイティブは(c)に違和感を感じるのです。島に行くのに船に乗る必要があるというのは、行く側にはどうしようもないことで、物理的な問題です。船しか選択肢がないのですから、主観的に感じて決められることではありません。他方、have toなら「~することを持っている」という逐語訳からもわかるとおり、ある動作を自分の身の回りに当たり前のこととして持っている、すなわち、状況からある動作をしなければならないことを表します。船しか選択肢がないという状況にピッタリですね。mustが「主観的・個人的」であるのに対し、have toは「客観的」だということになります。

mustとhave toの根本的な違いがわかったところで、もう一度(a)(b)の文を眺めてみましょう。すると、言外の意味が見えてきませんか?(a)I must study.は話し手の主観ですから、「明日のテストでいい点を取りたいから」とか「母親に勉強するように口うるさく言われるのが嫌だから」とか、個人的な気持ちがはたらいての発言ということになります。他方、(b)I have to study.の方はというと、「学生だから」のような客観的な理由による発言で、個人的にはどうしようもない理由からです。これらを訳し方だけに着目して「イコールだ」と教えるのは、あまりにも乱暴だと思いませんか?私はそう感じてなりません。

mustとhave toの違いがわかれば、その否定形の違いもわかりますよ。must notは主観的に「~してはいけない」という意味になり、特に“You must not~”となると「~するな」という否定の命令(禁止)になります。他方、don’t have toは、ある動作をする客観的状況を持っていないことになるので、「~する必要はない」という不必要の意味になります。

(e) You must not dress for the party. 「そのパーティーには正装して行かないように。」
(f) You don’t have to dress for the party. 「そのパーティーには正装して行く必要はない。」

いかがでしたかぁ?もうみなさんはmustとhave toを間違えて使うことはないと思います。では、最後に一つ確認問題をやってみましょう。mustを使うべきか、have toを使うべきか考えてみてください。

(g) You ( must / have to ) pay the rent in advance.
「レンタル料は前払いです。」

答えは“have to”ですよね。レンタル料の支払い方法を主観によってきまぐれに決められては、たまったもんじゃありませんよね。ルールによって決まっているわけですから、客観的状況を表す“have to”を選ぶべきでしょう。

では、では、次なるツッコミをお楽しみに~。

001 「徳川家康って知ってる?」

突然ですが、「徳川家康って知ってる?」を英語に直してみてください。。。どうですか?頭に英語が浮かびましたか?浮かんだなら準備OK!新コーナーのスタートです。

さすがにこの程度の英語なら「私にだってわかる!」と思った人がほとんどでしょう。でもね…この日本語を「ネイティブが首をかしげない英語」に直せる日本人は、希少価値があると言っても過言ではありません!学校の先生ですら、ほとんどが間違えると思います。

生徒A:いやいや、ちょっと待ってくださいよ!“Do you know Tokugawa Ieyasu?”なんて、さすがに間違えませんよ!
マエ先生:ハィ、そこ~!!その英語にツッコミま~す。
生徒A:えぇぇぇぇぇぇぇっ!?
マエ先生:そりゃ、間違えても仕方ありませんね。学校でもおそらくそう習うでしょうから。
生徒A:で、正しい英語は?
マエ先生:それじゃ、次の日本人とアメリカ人の会話を聞いてもらいましょうか。英語と日本語の両方で。

【英語での会話】
日本人:Do you know Tokugawa Ieyasu?
米国人:No. Do you?
日本人:I know, of course.
米国人:Really? You really know him?
日本人:?????

【日本語での会話】
日本人:徳川家康って知ってる?
米国人:いいえ、キミは?
日本人:もちろん知ってるよ。
米国人:ホントに?ホントに知り合いなの?
日本人:?????

日本語での会話を見ると、なんだか噛み合わないですよね。それもそのはず。この日本人はknowの正しい使い方を知らないんですから。knowは人を目的語に取ると、すなわち「know + 人」の形で用いると、「~と知り合いである」という意味になるんですよ。だから、“Do you know Tokugawa Ieyasu?”というと、「徳川家康と知り合いなの?」って尋ねたことになっちゃいます。徳川家康は西暦1600年前後に活躍した江戸時代の将軍ですから、今現在知り合いであるはずがありませんし、過去において知り合いだったということもありえませんよね。だから、“Do you know Tokugawa Ieyasu?”とは言えないんです。じゃ、どう言えば…?

Do you know about Tokugawa Ieyasu?

ここでは、「徳川家康について何か知識・情報を知っているか?」という意味で尋ねているので、「know about~(~について知っている)」って言えばいいでしょう。

(a) I know Ichiro. 「ボクはイチローと知り合いだ。」  
※野球選手のイチローならビックリですね!
(b) I know about Ichiro. 「ボクはイチローのことを知っている。」
※野球選手のイチローだからこそ、いろいろ情報として知っているんですよね!
※ただし、名前ぐらいしか知らないのなら、“know of”にした方が無難です。aboutを使うと「あれこれ知ってる」という感じになるので、I know about Ichiro.なんて言っておいて大した情報も提供できなければ、相手をがっかりさせることになるかもしれません。
(c) I know of Ichiro, but I don’t know him personally. 「イチローのことは、ほんのちょっとなら知っているけど、個人的には知らないよ。」
※こんなふうに言えたら完璧ですね。イチローが日本とアメリカ(メジャーリーグ)で活躍する偉大な野球選手だということぐらいは誰でも知っていますが、さすがに個人的な知り合いだって人はなかなかいませんよね。

では、人以外のときはどうでしょう?例えば、金閣寺について言うなら、“I know Kinkakuji.”と言えないことはありません。でも、これだって同じこと。実際に金閣寺に訪れたことがあり、金閣寺をよく知っている人でなければ簡単に“know”とは言えません。学校の歴史の時間に習った程度では、“I know Kinkakuji.”ではなく“I know of Kinkakuji.”と言うべきでしょう。“know of”は「~のことを聞いて知っている」という感じで捉えればいいと思います。“I’ve heard of Kinkakuji.”とほぼ同じだと考えてもOKです。もちろん“know about”を使ってもいいですが、aboutの「~の周辺」というニュアンスから“know of”よりは少し知っている情報が多岐にわたるような感じを受けます。

(c) I know the Eiffel Tower.  ※実際にエッフェル塔に行ったことがある。
(d) I know of the Eiffel Tower.  ※「簡単な知識なら知ってるぞ~」みたいな感じ。
(e) I know about the Eiffel Tower.  ※「そこそこ知識持ってるぞ~」みたいな感じ。

「そんな細かいこと言われたら、しゃべれないよ~」と思った人は、少なくとも人の時だけは気をつけておきましょう。 さて、いかがでしたかぁ?こんな簡単な単語なのにぃ…。こんな簡単な表現なのにぃ…と思いませんでしたか?このコーナーでは、こんなふうに学校英語や受験英語の盲点にツッコミを入れていこうと思います。軽~く、だけど、アカデミックに。。。そして、私と一緒に目指しましょう!I know English.と自信をもって言える日を!!

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