002 新型コロナウィルスに関連した英語

(2020/04/05)
皆さん、こんにちは。

新型コロナウィルスによる外出自粛ムードが高まる昨今、いかがお過ごしですか?
自宅にこもってテレビやゲームにかじりついているのでは?

こんな時に、わざわざこのサイトをご覧くださっている皆さんは、やはり英語学習に興味をもっておられると思います。

そこで、コロナだろうが、何だろうが、ここはポジティブに英語の勉強をしちゃおうじゃありませんかぁ!てなわけで、今日は新型コロナウィルスに関連した英語表現をいくつか紹介しようと思います。

まずは「新型コロナウィルス」そのものについてです。新型コロナウィルスって、英語で何て言うのでしょう?

新型コロナウィルス

WHOによる呼称:Coronavirus Disease 2019 (略称:COVID-19)一般的な呼称:Novel Coronavirus

novelとはnewの正式な言い方で、もちろんNew Coronavirusといっても十分に通用します。ただ、日常会話ではなく、英語圏のニュースなどではCOVID-19またはNovel Coronavirusということが多いようです。これだけ社会への影響が大きいことなので、newでは“軽すぎる”ということなのでしょうね。

次に「感染」ってどう言うの?

感染(する)

感染(名詞):infection
感染する(動詞):infect, get (/become) infected with
感染している(動詞):be infected with

まずは名詞のinfectionです。たとえば、お医者さんに“Is there any danger of infection?”「感染の危険はありますか?」と尋ねるときには、こんな風に言えばいいでしょう。また、厚生労働省のホームページに掲載されている「コロナウィルスを防ぐには」(2020年2月25日改訂版)の英語版には、“There is the risk of spreading the infection…”「感染を拡大させるリスクがある」との表記があります。

次に動詞です。動詞の場合は、主語によって表現を変える必要がありますね。infectという動詞を能動態(いわゆる受身形ではない普通の使い方)で使うときは、主語には「感染させる側の人や動物、ウィルスそのもの」がきます。“The father has infected his son with COVID-19.”「父親が新型コロナを息子に移してしまった」のように使ったり、“The Novel Coronavirus has infected ~ people and killed ~ in Tokyo today.”「新型コロナウィルスは、東京で今日の段階では、~人に感染し、~人の死者が出ています」のように使ったりします。また、主語が「感染する(した)側の人や動物」の場合は、infectを受動態(いわゆる受身形)にして使いましょう。「~さんが新型コロナにかかっちゃったんだって」は“I heard Mr.~ has got infected with COVID-19.”ってな感じ。上記厚生労働省記載情報の中には、“If the consultation center suspects that you have been infected with the virus, it will introduce you to a medical institution…”「あなたがウィルスに感染していると相談センターが疑った場合には、センターがあなたを医療機関に紹介します」とあります。いずれにせよ、主語に注意してくださいね。

「社会的距離」って何?

この新型コロナの拡大によって、私も新しいワードを知りました。それが“social distancing”です。日本でも3月の終わりぐらいになって、テレビや新聞が「社会的距離」という言葉を使い始めましたよね。

社会的距離(を保つこと)
社会的距離(を保つこと):social distancing
身体的距離(を保つこと):physical distancing

テレビでは連日、専門家が「飛沫感染を防ぐためには、他の人と2m程度の間隔をあけることが必用」と言っています。このように、感染防止のために「他人との間隔をあけること」をsocial distancingというとのことです。子どもの健康等についての情報サイト『KidsHealth』にとてもわかりやすい説明が載っていましので、訳しておきますね。“What Is Social Distancing?  Social distancing puts space between people.  When people who are infected with the virus stay away from others, they can’t pass it to anyone else.  This way, fewer people get sick at the same time.  Then, doctors and hospitals are better able to keep up with treating those who need care.”「社会的距離って何?:社会的距離とは人との間隔を置くことです。ウィルス感染した人が他人から離れていれば、他の誰かに移すことはありません。こうして一度に感染する人の数を減らすのです。それにより、医者や病院は、医療を必要としている人の治療を維持する可能性を高めることができます」だそうです。なるほどね~。

でも、WHOなどは最近“social distancing”の代わりに“physical distancing”というワードを使い始めています。理由は、社会的距離というとあまりにも孤立感が強すぎて、家族や愛する人との心の距離までも離れてしまうようなイメージがあるからだそうで、それを「physical distancing = 身体的距離」とすることで、体と体の触れ合いはできるだけ避けるものの、心はつながっているというイメージを与えようとしているようです。言葉のイメージ一つで人の感じ方は変わってしまうので、こういう配慮は大切ですよね。

で、social distancingって、実際にはどのように使われているのでしょう?たとえば、“Practice social distancing!”「社会的距離をとろう!」のように、practiceという動詞のあとで使うことが多いかも。このpracticeは「練習する」ではなく「実践する・行う」という意味です。高校英語では「動名詞」の単元で習う「practice ~ing」ってヤツですね。distancingが動名詞ってことは…ナント、social distanceで動詞だってことかぁ!(もちろん名詞としても使えます。)実際、“How can you social distance when you share a toilet with your neighbor?”「身近な人とトイレを共用する際はどう社会的教理を保てばいいのか?」というように、助動詞canの後ろで動詞の原形として使われています。実に面白いですね。

では、次は「外出の自粛」です。

一般的に:stay-at-home
非感染者の自粛:self-quarantine
感染者の自粛:self-isolation

まず、stay-at-homeは説明するまでもなく、「家にいること」ですよね。広く一般に使われる語です。アメリカ人が自分たちの現状を“Most of us are under stay-at-home orders.”「私たちの大多数に外出禁止令が出ています」と言っていました。

それに比べて、self-quarantineはかなり難しい語で、「感染症予防のための自主的隔離(状態)」を意味します。つまり、すでに感染している人の外出自粛ではなく、感染していない人が病気にかからないようにするために行う外出自粛です。アメリカの新聞『USA TODAY』に“Delaware Gov. John Carney is ordering all out-of-state travelers to self-quarantine for 14 days.”「デラウェア州知事ジョン・カーニーが全ての州外移動者に14日間の外出自粛を求めている」と掲載されています。

また、“I must continue my self-isolation until that symptom itself goes.”というのは、残念ながら新型コロナに感染してしまったイギリス首相ボリス・ジョンソンのことばで、「症状が治まるまで外出自粛を続けなければならない」と言っています。感染してしまった人はself-isolationというのですね。今回のコロナ騒動で日本政府の対応の甘さを指摘する海外からの声もありますが、そもそも英語では感染・非感染によって語彙が違うという点で、疫病への関心の強さやそれへの対応の歴史が日本とはまったく違うと感じます。やはり、ことばは文化であり歴史ですから。

最後は「回復」に関する語句で締めくくりましょう。やっぱ明るい話で終わりたい!

回復する:recover
治った(慣用表現):I made it.

ニュースを見てビックリしました。で、思わずニューズウィークを見てみると、“Asked about how he is feeling at 104 after just recovering from COVID-19, Lapschies responded: “Pretty good. I made it.””「ウィリアム・ラプシーズさんは、新型コロナウィルスから回復して104歳を迎えてどうですか、と尋ねられ、『すこぶる快調。治りましたよ。』」だって!先日、コロナのせいで志村けんさんが70歳で亡くなったという喪失感に包まれた日本ですが、こういう話を聞くと小さな光が見えてきますね。

“recover from + 病名”は「~から回復する・~が治る」という意味で、fromを忘れないようにしましょう。ラプシーズさんの返事にある“I made it.”は、困難を乗り越えて、何かがうまくいったときに用いられる慣用表現です。病気が治ったとき以外にも、長い道のりを進んで目的地に到着したとき、商売がうまくいったときなど、さまざまな場面で大活躍します。日本語の「やりましたぁ!」のようなものですね。日常会話でとても有用性が高いので、どんな場面で使うのかを意識しながら、ぜひぜひ辞書などで例文をたくさんチェックして使えるようにしましょう。

さて、今日は新型コロナウィルス関連の英語表現をいくつかご紹介しました。これを見てくださっている人の中には、これから受験を迎える学生や英検などの検定試験を受けようとしている人が多くおられると思います。私が英語講師としてこれまで感じてきたことは、医学部をはじめとする理系学部の大学入試においては、流行した翌年にはその疫病を扱った入試長文(主に医療的・薬学的な内容のもの)が出題されるということです。そして、そこから数年の間に、文系学部でも、その疫病と闘う国(政治)や個人のヒーロー伝説、疫病と人の心理との関係など、副産物的な話題を扱った長文が出題されるようになります。SERSやMERS、新型インフルエンザのときもそうでした。ですから、学生の皆さんは、このCOVID-19のことをよく覚えておいてください。英語の語彙や表現を覚えることも大切ですが、このCOVID-19とはどんなもので、社会がどう変わったのかを記憶にとどめておくことはそれ以上に大切です。背景知識があるのとないのでは、長文の理解度が大きく変わりますので。皆さん、こんなときだからこそポジティブに勉強しましょう!

Be positive for English-learning but be negative for COVID-19!!
「英語学習にはポジティブであれ!!しかし、新型コロナにはネガティブ(陰性)であれ!!」

※検査では、positive = 陽性、negative = 陰性を意味します。

001 桜にまつわる英語表現

(2020/03/16)
皆さん、こんにちは。

皆さん、こんにちは。
今日は新コーナーの立ち上げです!(^^)!
とかいって、『Others – その他な英語たち』というタイトルを見てもらえばわかるとおり、これまでの各コーナーに収まらないヤツらの居場所を作ったというか、雑多なヤツらを放り込む箱を作ったというか… ←ものは言いようだな(^^;
そんな感じで気軽に始めてみようとおもいます。

で、一発目ですけど、季節柄「やっぱ日本人は桜っしょ!」ってことで、「桜をめぐる英語表現」をご紹介しようと思います。日本に関するスピーチや大学入試の英作文などにお役立てください。では、スタート!

【Part 1】お花見について外国人に説明してみよう!
以下の4つの文は連続した1つの文章です。日本の伝統文化「お花見」を外国人に紹介するときの一例です。
・Hanami is a Japanese tradition of welcoming spring. 「花見は春を迎える日本の伝統です。」
・The word hanami is composed of two different words;“hana”means flower or blossom and“mi”means viewing. 「花見という語は異なる2語から成っており、“花”はflowerやblossomを、“見”はviewingを意味します。
・And it is generally used when some people get together under the cherry trees and have a party, viewing beautiful cherry blossoms and having food and drinks. 「そして、花見という語は、桜の木の下に数名が集まってパーティーを開き、きれいな桜の花を見て、飲食を楽しむ際に使われるのが一般的です。」
・Enjoying cherry blossoms is one of the traditional Japanese customs. 「桜の花を愛でるのは日本の伝統の一つなのです。」

では、簡単に解説を…
・hanamiがイタリック体(斜字体)になっているのは、英語から見たときに「日本語は外国語にあたるから」です。
・tradition「伝統」、traditional「伝統的な」は文化を伝える際に頻出の単語ですね。高校受験の長文などでもよく見かけますので覚えておきましょう。
・be composed of「~から成る」は、複数のものがくっついて1つのものを作っている際の構成要素を表し、大学入試では重要熟語です。たとえば、Water is composed of hydrogen and oxygen.のように使います。
・get together「集まる」はgatherと言ってもいいですが、それぞれgとtの間のスペルに気をつけてくださいね。英作文でミスが目立ちます。

【Part 2】花にまつわる様々な表現を覚えよう!
・Spring is just around the corner. 「春がもうそこまで来ている。」
 be just around the corner「~はすぐそこまで来ている」は、直訳すると、すぐそこの角の所まで来ているという意味で、一種の比喩表現ですね。
・The cherry blossom season has come. 「桜の季節がやってきた。」
 桜の季節が来て、今まさに桜の季節なんだから、現在完了形(=今の状態を表す時制)ですよ。過去形にしないでくださいね。
・The cherry blossoms are going to come out. 「桜の花が咲きそうだ。」
 「(花が)咲く」といえば、bloomを思い浮かべる人が多いと思いますが、 come outをぜひ覚えておいてください。汎用性が高く、“His new book is to come out next month.”「彼の新刊が来月発売されることになっている」のように、一般的に「待ち望んでいたものが出てくる」ことを表すことができます。
・The cherry blossoms will be in full bloom in a few days. 「2~3日で桜が満開になります。」
 in full bloom「満開で」の部分は、at their bestとしてもいいでしょうね。
・Mt. Yoshino is famous for its beautiful cherry blossoms. 「吉野山は美しい桜で知られています。」
 be famous for~「~で有名である」は高校入試の重要熟語です。be famous as~「~として有名である」と混同しないようにしましょう。Mt Yoshino is famous as a cherry blossoms viewing spot.「吉野山はお花見スポットとして有名です。」と言ってもいいですね。
・Japanese love the beauty of things which are transient and ephemeral in nature. 「日本人は移ろいゆくもの、はかないものの美しさを大切にする。」
 transient「つかの間の、短期滞在の」は難関大学レベル、ephemeral「短命の、1日限りの」は英検1級レベルの超難語ですが、「はかなさ」に美を感じるという日本人独特の感覚を表すのに欠かせない単語です。西洋人の多くは、散りゆく花を見ても何も感じないのだそうです。そういう文化的背景も知っておいてください。もちろん、“Japanese feel sadness and the value of life when they see cherry blossoms falling.”「日本人は桜が散りゆくのを見て、もの悲しさや命の大切さを感じる」と言えば、難しい語は避けられます。

以上、いろいろな表現を紹介しました。桜は、寿司、てんぷら、酒、カラオケに続いて日本を象徴するものとして海外でも知られるようになりました。ですから、 “sushi”や“karaoke”がイタリック体を使わずにそのままローマ字表記されているのと同様に、最近では“sakura”と表記されることも増えてきているようです。日本が誇る桜をもっともっと海外に発信できるよう、ぜひ桜にまつわる表現を身に付けてください。

では、第1回目はこれぐらいにしておきましょう。こんな感じで、『Others – その他な英語たち』では、思いつくままに様々なことをつらつらぁっと書いていきたいと思います。第2回目以降もお楽しみに(^^♪